Sammyです。
今回は名著とも言われている「ゾーン」です。
なぜ名著と呼ばれているかは、この書籍はテクニカル分析やファンダメンタルズ分析について記載されているのではなく、投資を行う上で重要なメンタルの部分について記載されているからです。
投資についての心理学ということで途中、禅問答みたいなところもありますが、それを自分なりに解釈した内容で紹介していきます。
内容については繰り返し記述されているところが多いので、そういった部分はまとめてあります。
成功への扉 ファンダメンタル分析か、テクニカル分析か、それとも心理分析か
最高のトレーダーを最も特徴づけるのは他人とは違った考え方をする事。
言葉で分かっていても真にこれを理解する事は難しい。
なぜなら、普通のトレーダーは何が「他人とは違う考え」かをそもそも分かっていないから。
つまり、他人と違った考えが大事と分かっていても、その内容を知らないのでは意味がない。
この他人と違う考えを実践するには心構えが大事。
勝者はある種の心構え(独自の姿勢)を確立し、逆境においても規律と集中力、そしてなによりも自信を維持できるので、恐怖の影響を受けず、一貫して勝者であり続ける。
ミスの95%は恐怖心から生まれる。
マーケットは中立であり、「誤ったトレードの姿勢と解釈」をするのは人間であり、それは恐怖を助長してしまう。
一貫した勝利者とその他大勢との差が「最高のトレーダーは恐れない」という点以外にあるとは思えない。事実彼らは恐れない。
そして同時に無謀なトレードを防ぐ姿勢を確立している。
ほとんどの書籍の第1章ではその本のもっとも重要な部分が書かれていることが多いです。
この書籍に関しても第1章にゾーンとはなにか?が書かれており、ゾーンとはマーケットに恐ることなくトレードできる状態とある。
ここで注意したいのはゾーンに入ることとなにも考えずにトレードすることは違うこと。ただなんとなくトレードするのでなく、経験と知識を頼りにここなら勝てるというポイントを”意識せず、恐怖心なく”トレードできる状態であると思う。
「ゾーン」に関してはトレードよりもスポーツの世界の方がよく使われるかもしれません。超集中状態に入り、圧倒的なハイレベルでパフォーマンスを出すこととも言われています。
野球でいえばバッターボックスでボールが止まってみえる、という選手もいますが、それはまさにこの「ゾーン」であると言えます。
トレードの誘惑
トレードで成功する人間は、生まれて初めて手にする自由と無限の可能性の中にあって、その危険性を認識し、己を律する規則を作り、それを守り続ける規律を持つ者である。
①規則を考えたくない
人間は制限された環境で育てられた反発心から、自らに制限を課す規則を作る事は心理的矛盾を生じ、生理的反発を覚える。
②責任感の欠如
トレードでは簡単に責任転嫁する方法があるため、完全なる選択の自由により自分で決断を下したトレードにも拘わらず、不都合な結果となった場合に自分以外に責任を転嫁してしまう。
③ランダムな報酬にのめり込む
常に勝ち続けるよりも、たまに勝つ方が人間の脳は喜びを感じ依存症になってしまうため(例:パチンコとか宝くじ)、そのランダムな報酬を求める心理状態は、規律により一貫性を生む精神構造の確立の障害となる。
④外部支配VS内部支配
社会で成功する人間は自分の欲求に適応させるために社会環境や他人を操作・支配する能力に長けているが、市場は支配や操作に応じたりしない。これが社会での成功者が市場で失敗する理由だ。市場を支配しようとするのではなく、マーケット情報の理解や解釈を支配し、自分の投資行動を規則と規律で支配しなければならない。
この章ではマーケットの無限の可能性の中において自身を規律しないといけないと書かれています。
自由なマーケットの中であえてルールを決めてトレードするのは本来であれば人間の心理とは反対です。しかし、ルールを決めてトレードしないと長期的にみて勝つことはなかなかできません。
ここにも書かれているように本来トレードにおいて責任は自身にあるはずなのに、マーケットのせいにしたり(地合いが悪かったから損失が出たのは仕方ないなど)するようではメンタルを安定させることはできません。
また、「ランダムな報酬にのめり込む」にもあるように、トレードの勝ち負けで一喜一憂していてもメンタルを安定させることができず、闇雲なトレードをしてしまいがちです。
「マーケットには常に謙虚に」の言葉にあるように自分がマーケットを支配しようとしてもできません。マーケットを中心とし、自分がその中で自分の決めたルール通りにトレードを行うことがメンタル的にも重要であると書かれている章でした。
責任をとる
勝つための最初の一歩が、完全完璧な責任の取り方なのだ。
責任を取れない者は二つの大きな過ちを犯す。
・マーケットと敵対関係を築いてしまう
・トレードの問題と失敗をマーケット分析で修正出来ると誤った確信を持つ
損失を避けて苦痛を防ぐ事へとスタンスが変わり、姿勢が後ろ向きになり、ミスを避けようとしてさらにミスをするようになる。
マーケットを勉強すればするほど、マーケットに勉強した通りの値動きを期待し、そうならなかった時の精神的苦痛が増し、問題は大きくなり、この苦痛は市場から去るか、問題がマーケットの理解の欠如にあるのではなく、自分の内面にあると気づくまで続くのである。
自信と自制に適度なバランスを確立する方法を習得していなければ、勝っていても、常に破滅する可能性があるのである。
この章は「トレードの誘惑」と内容が重なってきます。
要は損失の責任はマーケットではなく自身にありますよ、ということです。そして、失敗により投資の勉強をする動機は「復讐心」であり、自分の正当性を得るためであり、マーケットを支配するためである。ともあります。
この部分はハッとする方が多いのではないでしょうか。
有効なテクニカルを探したりするのは重要ですが、マーケットへの復讐心になってはいけません。
買いサインが出ているとテクニカルを自分の都合で解釈したり、都合の悪いテクニカルはみなかったことにするのは、マーケットに対する復讐心となり、この行為がマーケットを支配しようとしています。
結局マーケットへの復讐心がさらなる損失につながります。
ではどうしたら良いかというと前章にもあるようにマーケットの中で自分を規律しトレードするほかにありません。
マーケットは誰にもわからないので、上げ下げを予想してトレードするのではなく、上がった場合下がった場合のルールを事前に決めておき、ルール通りにトレードすべきです。
もしトレードにおいて大きな損失が出た場合は取り返そうと思ってマーケットに復讐せずに、少し休んでから冷静に改めてマーケットと対峙したほうが良いでしょう。
トレーダーの優位性
個々のトレードは「何事も起こり得る」=騰落予測不能のランダムであるが、数%でも優位性があるトレードを一貫性を以って多数繰り返せばトータルとして必ず勝てる。ただし、気を付けなければいけないのは、あらゆるテクニカル指標等を用いて過去のマーケット分析をし、確率論的に優位性の高いストラテジーを見つけたとしても、それは「過去」はそうなったという話であり、マーケット参加者が異なる以上、マーケットは「唯一性」を持っており、今現在、そして未来については、優位性は保証されおらず、「何事も起こり得る」状況は変わらないという事。
確率論で考えると言う事は「将来は分からない」という事。つまり必ず勝てるトレードなどなく、正しいトレードなどないと悟っており、従って全てのトレードでリスクを受け入れなければならないという確信を持っている事である。
初心者にありがちなのは「勝てる方法」を教えてくださいとあるが、この章にもあるようにそんな聖杯はマーケットにはありません。
様々なトレーダーが手法や銘柄をあげているが、そこには必ず勝てるわけではなく少しの優位性があるだけだと思います。そして損失が出たとしてもその責任は自分にあることを理解しなければいけません。
有名トレーダーであるCISさんが行っているように「今ある優位性に張る」ことでしょう。CISさんもマーケットがどうなるかわからないがリスクを受け入れて勝てる可能性があるほうにトレードされていると思います。
数%でも優位性があるトレードを一貫性を以って多数繰り返せばトータルとして必ず勝てる。とあるようにリスクを限定して、優位性があるほうに張り、損少利大を繰り返していけば最後は勝てることですので、すべてのトレードにおいて負けない人はいないと思います。
SNSなどで常勝してます、なんて人は勝っている部分しか見せていないか、バーチャかの間違いなくどちらかでしょう。
テクニカル分析による優位性の不確実性とマーケットの唯一性を認識した時、失敗・期待外れへの欲求不満は消え、一貫性を持ったトレードが可能となる。
これは非常に重要なことだと捉えています。テクニカル分析はあくまでも過去、そしてマーケットでは何事も起こり得ると考えておくことで、メンタルが安定します。
トレーダー的思考法
第一の機械的段階(機械的なトレード)
己を律する能力、優位性のあるトレードの完璧な執行、確率で考える、一貫性をもたらす信念の確立(トレードに悪影響を及ぼす信念は非活性化させる)によって達成される。
第二の主観的段階(主観的なトレード)
この本で述べて来たマーケットの本質を理解しており、自由にトレード出来る。そのためにはミスを犯す可能性を監視する方法を習得しておかないといけない。
優れたトレーダーにとってミスとは成功と向上のための糧としてプラスの信念を持つが、そうでないトレーダーに取っては後悔、自己批判等のマイナスの信念を持ってしまう。
これを防ぐためにはミスの意味をプラスの信念に変えるか、ミスによる自責の念や自己卑下となったマイナスの信念を非活性化させればよい。
それが無理な人は、売買ルールを設定して機械的なトレードをするしかない。
第三の直感的段階(直感的なトレード)
ここまで至ればトレードを極めたと言える。
最後はゾーンに達するまでのことが書かれています。
これまでにあったようにメンタルを安定させてトレードするためには機械的にトレードしなければいけません。それが第一段階になっています。
過去のテクニカルを参考にして、またそのテクニカルを過信せずに優位性のあるポジションを取り、マーケットの中で違うとなった場合は速やかにロスカット、もしくは利益を伸ばしていくことが機械的なトレードになってくると思います。
機械的なトレードができるようになった次はそのトレードに対する考え方を崩すことなく、もっと自由にトレードできるようになるはずです。そして、損失が出た時も悲観的にならず、ポジティブに次のトレードの糧とします。
その次のゾーンと呼ばれる状態に達するためには「敗者の日記」をつけることをおすすめします。
これは自分のミスを客観的にみるためです。自身が機械的にトレードしていたつもりでも、客観的にみるとインアウトがまったく機械的でなかったと自ら感じることができます。
「敗者の日記」に書く項目としては、買った価格と理由、ロスカットした価格と理由は最低限でもし可能ならチャートもつけることができれば後からも見やすいと思います。
「敗者の日記」をつけることによって自身のトレードルールが確立され、よりブラッシュアップしていくことができます。
そして「敗者の日記」によって得られた経験と知識が蓄えられることによって、ゾーンに入ることができ直感的にトレードできるようになります。
機械的なトレード、主観的なトレードを通過しないとただ闇雲に直感でトレードしている状態かもしれません。
ぜひともゾーンに入るために「敗者の日記」をつけてみてください。
まとめ
少し長くなりましたが、いかがでしたでしょうか?
この著書は書いてあることが繰り返し出てきたりして読みづらいところもありますが、まとめると下記のようなことになってくると思います。
ゾーンとは
恐怖心の全くない状態でマーケットを正しく認識し、マーケットとシンクロした状態で、直感的にトレードが出来る状態。
ミスをしないわけでも、損失を出さないわけでもなく、マーケットを恐れない、予想しない、苦痛から来る恐怖もない状態。
ゾーンに至るには
第一段階 ルールを決めて機械的にトレードする
第二段階 ルールの中で自由にトレードし、ミスが出た場合は成長への糧とし、プラスの信念を持つ
第三段階 第二段階を踏まえ、直感的にトレードできる状態
ゾーンに至るまでには自分の心理状態を変えていかなければいけません。人間が持つバイアスとしてこちらも合わせてご覧ください。